最高裁判所第一小法廷 昭和25(オ)315 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人弁護士岡井藤志郎の上告理由第一、二点について。
上告人は、昭和二五年二月一四日の原審第三回口頭弁論期日において、同日附準
備書面に基き陳述し、裁判所の問に対しその主張を釈明している(記録二二五丁裏)。
原判決は、右釈明せられた主張を事実摘示に掲げると共に、判決理由中においてこ
れに対し判断を示しているのである。その余の準備書面の記載で原判決の事実摘示
に掲記されていないのは、借家法一条、一条の二の解釈に関する上告代理人独自の
法律上の意見に過ぎないものである。従つて、原判決の事実摘示に掲げる必要のな
い事項であり、また上告人の右法律上の見解は、原判決が採つていないことは判文
上明らかである。それ故、原判決には所論第一点で主張するような違法はない。
建物の賃借人は、引渡を受けているときは、その後に建物の所有権を取得した買
受人に対し、借家法一条により賃貸借の効力を主張し得ることは、所論のいうとお
りである。そして、建物の買受人は、一般に賃貸人として解約を申入れる権利を有
するが、その申入を適法に為し得るがためには、借家法一条の二の規定に従い正当
の事由が存在することを要する。
そして、本件において、原審がその認定の事実関係の下に、本件解約に正当の事
由があると判断したのは正当である。所論は、右と異る独自の法律解釈を打建て原
判決を非難するものであつて、採ることを得ない。
同第三点について。
論旨は違憲をいうが、その実質は借家法一条、一条の二の解釈適用を争うに帰し、
前説明のごとく採るを得ないものである。
- 1 -
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官 真 野 毅
裁判官 斎 藤 悠 輔
裁判官 岩 松 三 郎
裁判官 入 江 俊 郎
- 2 -